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ディアボロの試練 レクイエムの大迷宮クリア後、ホテルに現れる露伴に話しかけると入れるようになるダンジョン。 装備DISC、記憶DISC、ヤバイものが未識別。 持ち込めるのは今までの自分の経験だけ。 ディアボロの試練の名に恥じないダンジョン。 すべての試練を乗り越える、それが帝王。 ハイプリエステスは15~18Fで登場するが、 店では1~18Fまで登場するので注意。 またベイビィフェイスは25~35Fまで登場し、 店では19F~98Fまでとなっている。 20FにディアボロのDISCが必ず落ちている。 一度クリアすると、99Fに☆付の装備DISCが必ず落ちているようになる。 ダンジョン仕様 出現条件 レクイエムの大迷宮クリア 階層 99F 道具持ち込み × 通常モンスターハウス ○ 特殊モンスターハウス ○ 特殊フロア ○ ラクガキの罠 ○ オエコモバの罠 ○ 黒い絵の罠 ○ 敵キャラクター分布 1F ヤク中のゴロツキ 小汚い浮浪者 ジョセフ(4部) エコーズの卵 ドノヴァン 2F ヤク中のゴロツキ 小汚い浮浪者 ジョセフ(4部) エコーズの卵 ドノヴァン ヌケサク 3F,4F タワー・オブ・グレー ブルりん ジョセフ(4部) エンポリオ ドノヴァン ヌケサク 5F タワー・オブ・グレー ブルりん エコーズACT1 エンポリオ ワンチェン ヌケサク 6F 運命の車輪 ラバーソウル エコーズACT1 エンポリオ ワンチェン 7F 運命の車輪 ラバーソウル エコーズACT2 エボニーデビルの人形 ワンチェン ダイアーさん ジャック・ザ・リパー ハイウェイスター 8F 運命の車輪 ラバーソウル エコーズACT2 エボニーデビルの人形 ワンチェン ダイアーさん ジャック・ザ・リパー ハイウェイスター ハーヴェスト 9F 運命の車輪 ラバーソウル エコーズACT2 エボニーデビルの人形 ワンチェン ダイアーさん ジャック・ザ・リパー ハイウェイスター ハーヴェスト デス・13 10F ディオ・ブランドー ラバーソウル ラバーズ エボニーデビルの人形 リキエル ハーヴェスト デス・13 11F ディオ・ブランドー ジョリーン ラバーズ ペイジ プラント ジョーンズ ボーンナム リキエル ハーヴェスト デス・13 12F ディオ・ブランドー ジョリーン ラバーズ リキエル ジョセフ マンハッタントランファー メローネ 13,14F ジョナサン ジョリーン ラバーズ F・F リキエル ジョセフ マンハッタントランファー ドゥービー エルメェス メローネ 15F ジョナサン オインゴ ジャッジメント F・F ハイプリエステス マンハッタントランファー ドゥービー エルメェス 16F アクアネックレス エコーズACT3 ジャッジメント シュトロハイム ハイプリエステス マンハッタントランファー ドゥービー エルメェス グェス 17F アクアネックレス エコーズACT3 ジャッジメント シュトロハイム ジョルノ ハイプリエステス マンハッタントランファー ドゥービー グェス 18F アクアネックレス エコーズACT3 吉良の親父 シュトロハイム ジョルノ ハイプリエステス ゲブ神 億泰 19F アクアネックレス エコーズACT3 吉良の親父 エアロスミス ジョルノ ゲブ神 億泰 20F シアーハートアタック エコーズACT3 吉良の親父 エアロスミス 仗助 ホル・ホース ゲブ神 億泰 ワイアードのベック 21~23F シアーハートアタック エコーズACT3 エアロスミス 仗助 ホル・ホース ゲブ神 億泰 ワイアードのベック 24F オインゴ グリーン・ディ 由花子 シーザー リゾット 床屋のカーン アレッシー ブラフォード 25~26F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス 由花子 シーザー リゾット 床屋のカーン アレッシー ブラフォード 27F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス ストレイツォ チョコラータ リゾット 床屋のカーン アレッシー ブラフォード 28F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス ストレイツォ チョコラータ リゾット 床屋のカーン アレッシー フーゴ ケンゾー 29F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス ストレイツォ チョコラータ 虹村形兆 床屋のカーン アレッシー フーゴ ケンゾー タルカス ホルマジオ 30F ノトーリアスBIG ベイビィフェイス チョコラータ 虹村形兆 アレッシー フーゴ ケンゾー タルカス ホルマジオ 31~32F アヴドゥルさん ベイビィフェイス 康一 ブラック・サバス プロシュート兄貴 セッコ プッチ神父 フーゴ タルカス ホルマジオ 33F アヴドゥルさん ベイビィフェイス 康一 ブラック・サバス プロシュート兄貴 セッコ プッチ神父 フーゴ レッドホットチリペッパー 34F アヴドゥルさん ベイビィフェイス 康一 若ジョセフ プロシュート兄貴 セッコ プッチ神父 ブチャラティ レッドホットチリペッパー 35~36F アヴドゥルさん ペットショップ 若ジョセフ プロシュート兄貴 セッコ プッチ神父 ブチャラティ レッドホットチリペッパー 37F アヴドゥルさん ペットショップ ラング・ラングラー 若ジョセフ プロシュート兄貴 セッコ プッチ神父 ブチャラティ レッドホットチリペッパー 38~39F アヴドゥルさん ペットショップ ラング・ラングラー 若ジョセフ プロシュート兄貴 セッコ プッチ神父 ブチャラティ 吉良吉影 40~46F ハーヴェスト シアーハートアタック DIO ジョセフ(3部) プッチ神父 禁煙中ホル・ホース 吉良吉影 47~53F アヴドゥルさん ウエストウッド看守 花京院 ピアスを開けたジョリーン (2012年3/16verから) トリッシュ ブラック・サバス ポルナレフ ラバーソウル 54~56F アナスイ ウェザー マライア 川尻浩作 サンタナ ワンチェン ジャック・ザ・リパー ドゥービー ワイアードのベック 57~59F アナスイ ウェザー マライア 川尻浩作 サンタナ ワンチェン ジャック・ザ・リパー ドゥービー ワイアードのベック ブラック・サバス 60~66F 康一act2!! プッツン由花子 ブチ切れた仗助 ブチ切れた億泰 承太郎(4部) 虫喰い 虫喰いでない 67~72F シュトロハイム シーザー 若ジョセフ リサリサ ワムウ エシディシ カーズ 73~74F シュトロハイム シーザー 若ジョセフ リサリサ ワムウ エシディシ カーズ サーレー 75~79F マンハッタントランファー リゾット 禁煙中ホル・ホース スポーツマックス C-MOON ミスタ サーレー 80~83F マックイィーン ヴァニラ・アイス 退院した花京院 アヌビスポルナレフ ストレイ・キャット ミスタ 成長した吉良 ギアッチョ 84~86F マックイィーン ヴァニラ・アイス 退院した花京院 アヌビスポルナレフ ストレイ・キャット 成長した吉良 ギアッチョ 87~89F マックイィーン ヴァニラ・アイス 退院した花京院 アヌビスポルナレフ ストレイ・キャット 記憶が戻ったウェザー 成長した吉良 ギアッチョ 90~98F 虫喰い エンポリオ(酸素) クリーム 最高にハイなDIO 承太郎(3部) ザ・ニュー神父 究極カーズ サーレー 昇り調子の大柳賢 99F アナスイ お母さんヤギ ウンガロ(主) 階層別攻略 1-2F ハートが緑色に塗り潰されている卵はACT1入り、避けた方が無難。倒して稼ぐ事もできるがACT2に成長するリスクもある。 店があっても装備なし低Lvではハイプリに殴られて即死の危険がある。裸で最大23ダメージほど受ける。 lv3だと一発耐える事が出来るが運が悪いとLv3でも死ぬ危険性はある 3-5F ブルりんが登場する。装備なしLv3で殴り合うのは苦しいので3階前にLv4まで上げておくと安心。 ちなみにボインゴで予約していない場合、自然にモンスターハウスが出るのは4階から。 いわゆる低層特殊MHへの対抗策(あるいは覚悟)は3階の階段を降りるまでに考えておいた方がいいかも。 6-9F 敵が強くなる。この階までに装備が出ないと厳しい。中でもエボニーデビルでLvの上がったリパーは危険。 ハーヴェストも登場するが食料的に難しい段階。あくまでも余裕がある場合のみ稼ごう。 10-15F 10Fからリキエル登場。盲目にされると不慮の事故が怖いので見かけ次第射殺するのが無難。 ジョナサンは非常に強いので、あるならばハーミットパープルを能力装備してビリっとくるのを防ごう。 16-19F 15、16Fはエルメェスとハイプリエステスが同時登場するので増殖稼ぎが狙える。 17Fからはジョルノに注意。ただし食糧不足ならばいらないアイテムで蛙を作らせることも視野に入れるといい。 20-23F シアーハートアタックはコッチヲミロ状態にしてからハンドに付け替えて殴る、ドヒュウの罠を踏んでぶつかる、などでアイテムを使わなくても倒せる。 アイテムドロップ率は極低で経験値も少なめなので、装備に余裕があるなら爆破してしまうのもいい。 全部にACT2を撃つのは勿体ないので節約できるところで上手に節約していきたい。 仗助とのコンビは凶悪なので位置関係を調節して仗助から倒すこと。 24-30F ここら辺から難敵が増えてくる。死が見える状況になる前に、アイテムは早めの使用を。 中でもMHでのリゾット複数体には厳重注意。多いと1ターンに3割~半分ほど持って行かれる事も珍しくない。 ゾンビ馬や波紋のツボのキープは勿論のこと、回復が追いつかない場合用にワープ系もあると良い。 またベイビィフェイスは結構攻撃力が高いのでアイテムに近づく前には必ずHPの確認を。 31-39F ブ男ことアヴドゥルさんが登場する。特殊攻撃はイエテン発動かマジ赤能力装備で防げる。 ないなら銭を投げながら通路を進んだり、チリペマントラ発動などでできるだけ消し炭を避けよう。 旨みは少ない階層なので修正値が高いならさっさと降りてしまうのもベネ。 40-46F 2度目のハーヴェスト階にして試練最大の稼ぎ階層。今後はいやらしい敵ばかりなのでできるだけ粘りたい。 部屋に入るなりDIOが寝ジョセフ殴る→ハイなDIO化して時止め→無駄無駄再起不能の即死コンボが怖い。 対策としては入口ピストルズ、マントラ発動、ガイルやエンプレスや神砂で起こす、など。 クラフトやウェザー能力がない場合、禁煙ホルホースのダメージも馬鹿にならない。ラバーズで早めに対処したい。 47-53F アヴドゥルさんとブラックサバスが再登場する。40~46Fで溜め込んだ射撃やアイテムをフル活用しよう。 看守もなかなか厄介。特に掴まれた状態で看守の後ろにジョリーンがいるという状況になると詰みかねないので注意。 新規追加されたピアスを開けたジョリーンは体力が53あり自己回復で50回復する。殴りだけでは泥仕合になりかねないので、状態異常にして倒すと良い。 54-59F 骨があってスパイスガール能力が防御にないならアナスイ対策で床置きするといい。 その際、落とし穴に落ちないためにタワーオブグレーは装備すること。 憎き肉片はイエテンのほか、ダイバーダウン、クラッシュなどの障害物を中継した攻撃でもくっつかない。 高Lvサンタナは非常に攻撃力が高いためラバーズや爆弾で処理しよう。 川尻浩作はおいしいがドロップ率が高いわけではない。アイテムを使いすぎないように。 60-66F 4部階。試練最大の脅威ともいえる虫喰いが出てくる。マントラチリペなど感知アイテムを発動した上で即降りを強く推奨。 対策もないまま下手に欲を出して稼ごうとするとどんどん溶かされて10近く防御値が減ることもありうる。 倍速敵が2種もいるので通路を走ると追いつかれて先制されることもしばしば。できれば歩こう。 67-74F 2部階。波紋効果の恩恵がとても大きいのであれば積極的に使おう。 エシディシは部屋内床アイテムも焼いてくるのが厄介。 MHでダラダラ戦っていると中のアイテムをどんどん炭にされてしまうので注意。 長引きそうなら通路におびき出して戦おう。 75-79F 射撃ゾーン。出会い頭にCMOON裏返し→ピストルズで即死がいつでもありうる。 CMOONかストーンフリーがあるなら装備しておこう。ないならチリペやマントラを使いつつさっさと降りた方がいい。 固定ダメージ敵が非常に多いので防御が高くても波紋のツボなどの全回復アイテムは何回分か取っておきたい。 80-89F あるならばギアッチョ対策にホルス神装備は絶対。イエテン発動やホワルバ能力装備もいい。 倍速なので殴る→凍らせる、で動けないままハメが成立する。数ターン続くとかなり危険。 成長吉良は鈍足にして倒す。残りHPを計算してお金で倒しきるのもアリ。 対策がなくどうしても殴りあうとバイツァさせてしまう場合は無視して降りてしまおう。 90-98F 敵が非常に強い。ここのみ背景色が固定になっている。 倍速敵が多く究極カーズやクリームもいる為、マントラは発動しておきたい。 防御50程度あれば殴り合いも可能だが、敵のHPが軒並み高く時間がかかる。 修正値を奪ってくる敵も2種いるのでいちいち付き合わずさっさと降りた方がいいだろう。 自由人の狂想曲(99F) 最下層にしてボス階。逃げ回りながら召喚するウンガロの倒し方は色々あるが 1.「部屋内全ての敵の動きを(一時的でも)止められる」アイテムを使って接近しタコ殴り 2.強力な全体発動をひたすら連発し続け召喚敵もろともに削り殺す 主にこのどちらかになるので、プロシュート兄貴のディスクは是が非でも1枚持ち込みたい。 1の場合は召喚敵に横槍を入れられないように工夫すると手早く済む。 具体的にはハンドで掘った壁穴にマンミラで入れ替わってウンガロを入れてそこで殴る、 あるいはGEの花と地形で囲んで周りから殴られないようにする、など。 2の場合はウンガロのHPが500という事を覚えておくこと。プロシュート+ヘイズでも5~7発必要になる。
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【ゲーム】ディアボロの大冒険(PC) 【作者名】フミフミ 【完成度】更新停滞中 (08/02/21~08/04/02) 【動画数】 【part1へのリンク】 【マイリストへのリンク】http //www.nicovideo.jp/mylist/5237209 【備考】
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夜も更けて頭上には、月が二つ輝くだけのヴェストリ広場。 人っ子一人居る筈が無いその場所に一人の男が居た。 その名はギーシュ・ド・グラモン。武勲で知られるグラモン家の四男である。 静かに夜空を見上げる顔からは何の感情も読み取れない。 そのまま瞑想を続けるギーシュの耳に足音が聞こえた 「来たね」 そう言ったギーシュの視線の先、そこにはこちらに歩いてくるディアボロの姿。 「ふん?あの時に言ったはずだがな……逃げる必要が私には無い、と」 ホールに居た時に聞いたギーシュの言葉を思い出すディアボロ。 (『ヴェストリ広場で待って居る』か・・・・・・ククク) ディアボロはそのままスルーしても良かったのだが、何やら面白そうなので行く事にしたのであった。 まずは手始めとばかりにギーシュをおちょくってみる。 「それで?新しい芸でも見せるのか?それとも、馬鹿の一つ覚えのようにつまらない人形劇を繰り返すか?」 嘲りの声を向けられてもギーシュの静かな顔が変わらない。 その目から何かを感じ取ったディアボロ。 「どうやら・・・・・・本気のようだな」 「ああ、これは僕の・・・・・・ギーシュ・ド・グラモンの命を賭けた決闘だ。 遊びだとは絶対に言わせない!」 続いて振られる薔薇の造花とワルキューレの言葉、それに応えるように青銅の女騎士が現れる。 ディアボロを見つめるギーシュに思い返されるは、自室で寝込んでいた時に見ていた夢――― その夢の中にはここではない別の世界から、自分を慰める『自分達』の姿があった。 『殺されずにすんだから良かったじゃないか』『死ぬよりはマシだよ』『ワルキューレを全滅させられただけだから安心しなよ』 優しく、本当に優しく、子供に言い聞かせるように語ってくる『自分達』 それを聞いたギーシュは吐き気がした。 自分を慰める『自分達』の姿にでは無く・・・・・・それを聞いて安心する自分自身に しょうがなかったと、自分に言い訳をして敗北を認める事、それが死ぬよりも辛い事に今更ながら気づいた。 そう思えば後は簡単だった。 善は急げとばかりに、ベッドから跳ね起きて図書室へ赴く そこでギーシュは必要な物を探しながら、グラモン家の家訓である『生命を惜しむな、名を惜しめ』の意味をやっと理解する事が出来たと感じた。 「いけッ!ワルキューレ!!!」 そのままワルキューレをディアボロに突っ込ませる。 ワルキューレは武器を振り被って目前のディアボロに叩きつけようとした。 が、ディアボロに当る一瞬前に、そのワルキューレはデルフリンガーで逆に叩き切られた。 何の抵抗も無く、縦に一刀両断されて鯵の開きのような姿になるワルキューレ。 「面白くなる・・・・・・と思ったが期待外れだったか?」 呆れたように呟くディアボロ。 彼の目には今のギーシュの行為は、ワルキューレを一体無駄にしたとしか思えない。 だが―――― 「油断は良くないよ!」 ギーシュの叫びと同時に、両断されたワルキューレが何の前触れも無しに『破裂』した。 そして四方八方にに撒き散らされる砂、砂、砂の嵐。 至近距離に居たディアボロはその砂をまともにくらってしまい、視界が暗闇に閉ざされた。 それを見るギーシュが新しいワルキューレを生み出す。 こちらに走ってくるワルキューレの足音を聞いても動かない。動けないディアボロ―――目潰しと同時に足元が泥濘になり、次の瞬間石に変わったからだ。 足が動かずに目も見えないディアボロは・・・・・・ワルキューレの攻撃を無防備でうけるしかなかった。 ザクッ!ズグッ!とヴェストリ広場に肉を裂く音が響く。 そのワルキューレの攻撃をくらっても構わずにディアボロは剣を振る、しかし、斬っては離れ、突いては離れる完璧なヒットアンドアウェーを見せるワルキューレ達には当らない、当るはずがない。 数を少なくする事によって連携の精度を上げた部分もあったが、今のワルキューレからは何かの凄みも感じる。 「右だ相棒!って、そこ違う!俺から見て右だよ!」 デルフリンガーの指示も虚しくフルボッコにされるディアボロ。 と言うかぶっちゃけデル公の指示は邪魔にしかならない、混乱するだけである。 誰がどう見てもギーシュの圧倒的優勢。なはずだが。 顔から流れる嫌な汗をギーシュは止める事ができなかった。 目を潰され、足を固められ、インテリジェンスソードの指示も全くの無駄にしかなってない状況。 ピンチのはずだ。 だと言うのに。 ―――――今のディアボロの顔に笑みが浮かんで来ていると言うのは何故なのか? 「……っ、ふ」 ディアボロの口から息が漏れ。 そして、酷く唐突に彼は笑い始めた。 「ふ、ふふふふ。は、ははっははははははははは!!!!!」 傍から見れば、それは確実にディアボロが狂ったとしか思えない。 だが彼は満面の笑みを浮かべ、面白い物を見たかのような笑いを発している。 何も見えない目で、夜空を見上げながら少年のように笑っている。 何かを言いたげなデルフリンガーを鞘に収めると、ギーシュの方を向く。 「はは、はははははははははは!はは、は、は、は!面白い!何とも面白い! 自分の最善を尽くして敵を仕留めようとするとは!かつての裏切り者達を思い出すぞ!」 奇妙なダンジョンの敵とは違い、ディアボロの能力を把握して冷静に対策を立ててくるギーシュ。 自分のスタンドを知って尚、闘志を失わずに策を張り巡らせてきたブチャラティやジョルノがディアボロの脳裏に浮かんでくる。 「侮辱してすまなかったギーシュ!私も遊ぶのは止めにしよう!」 その言葉と同時に――――紙から取り出したDISCを頭にINするディアボロ。 背筋に冷たい物が走るギーシュ。あれはヤバイ何か分からんがとにかくヤバイ。 今までのギーシュなら何も感じずに余裕をかましていただろう だが成長したギーシュに迫り来る脅威を感じられないわけが無かった。 だからと言って今のギーシュはこの決闘から逃げる選択肢を選ばない。 「……ワルキューレ!!」 恐れを叫びで吹き飛ばし命令する最後の強襲、ワルキューレが狙うはディアボロの頭部と心臓。 しかし、そのギーシュの号令も空しく。 人間の動体視力では捉えきれない速度で、ディアボロの体から出て来た『何か』が 周りに居た全てのワルキューレを『消滅』させた。 『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!』 常識を超えた豪速のラッシュの直撃―――欠片すら残さずに塵となるワルキューレ達。 破壊に一瞬遅れて、辺りの大気が震え、雷のような破砕音が響き渡った。 それが意味する事は、攻撃が音の速さを超えていたと言う単純明快な真理 砂で潰された目が直り、石で固められた足を抜け出、鞘に収めたデルフリンガーを引抜いて動きだすディアボロ。 優勢な状態から、一転してピンチになるギーシュ。 だが、彼にはまだ切り札があった。 (そうだ、それで良い!そのままこっちに近付いて来い!) ディアボロが来る前にその『罠』の準備は完了していた。 罠。とは、ディアボロとギーシュの間にある何の変哲も無い地面にある。 緻密な前準備の成果により、踏んだ瞬間に足元から長さ2メイルもある青銅の剣が飛び出すと言う物。 ワルキューレで倒せるならそれで良い。 もしも、倒せなかったとしても罠を踏ませれば良い。 ギーシュは今度こそ勝利を確信した。 しかし―――――― 「罠か!本当に楽しませてくれるなギーシュ!」 図星をズバリ言い当てられたギーシュが顔面を蒼白にさせられる。 ハッタリかと思ったが、ディアボロは罠がある場所だけを横移動で避けてこっちに向かって来ている 考えている事を読まれたとしか思えないギーシュ。 「何故!?何故分かったんだ!?」 大嫌いな努力と頑張りを使って、何の痕跡も残らないように偽装したのである。 それに時間は夜中、どんなに注意深く見ても絶対気付かれないはずであった。 だが、現にディアボロは罠の存在を見破っている。 ほぼ至近距離まで近付かれて魔法を使う暇も無い、万策尽き果てたギーシュ。誰が見ても敗北は必至。 しかし、ギーシュの目の中で燃えている闘志はまだ消えてない。 後ろに跳んで距離を離し、次の策を考えるまでの繋ぎとしてワルキューレを作成する。 そこまで考えたが、その隙が無い。 振り被られるデルフリンガーを見ながらも、ギーシュは諦めずに勝利へ繋がる方程式を考える。 (右、左、背後、どれを選んでも次は回避できない!なら!) 振り下ろされるデルフリンガー それを見ながらギーシュは…… ディアボロに全体重をかけた体当りをしたッ!! 腹に突き刺さるデルフリンガーの味に、口から苦い物を吐きそうになるが、根性で押し留める 「ふん?」 感心したようなディアボロが押された先には、苦心して作ったギーシュの罠! ズブンッ! 地面から突き出される2メイルの長剣がディアボロに突き刺さる! 「僕……の勝……ちだ」 酸素不足と激痛でギーシュの意識が朦朧とする中、自分のやった行為の結果を見届けるべく長剣が突き刺さったディアボロを見る。 確かに長剣が突き刺さっている、だが、次に見た物はギーシュの予想を軽く上回っていた。 「さすがだ……ギーシュ・ド・グラモン」 体を断ち切るような格好で刺さっているのだ、それは致命傷と言うしかないだろう…なのに 自分の体に刺さった長剣を引抜く―――と言うより、長剣に刺さった自分の体を引抜いているディアボロの姿。 「な……に?」 断続的な睡眠と覚醒への葛藤が激しいギーシュには、それを言うのが精一杯だった。 思い出したかのように、胃を通って、喉を通って、口から吐き出される血液。 倒れて、地面の土に口付けをするギーシュ。 「あっ……あっ……」 無理矢理に立ちあがろうとし、力が入らない手足を蛞蝓のように動かす。 だが、ギーシュのそれは地面に頬を擦り付けるだけの無駄な運動にしかならない。 そうこうやっている内に、ディアボロが長剣から脱出した。 こちらはギーシュと違って、血の一滴さえも吐き出さずに平静な顔を崩す事も無い。 ディアボロが生きている、ならば戦わなければ、杖を拾って、魔法を唱え、勝利へ繋がる行為をしなければ そんな事を考えている内に、ディアボロが近付いてくるのが朦朧とするギーシュの視界に映った。 「あ、あ、ああああああああああっ!!!!!」 腹に刺さったデルフリンガーを引抜かれて口から情けない悲鳴が漏れる。 自分はこれからトドメを刺されるだろう、そう何と無しに確信した。 しかし、次にディアボロが取った行動もギーシュの予想を軽く上回っていた 腹部に衝撃、と、同時に何かが詰め込まれるような感覚 それを感じながら、ギーシュは今度こそ完全に気絶した。 目の前に倒れているギーシュを見る一人と一振り。 ギーシュの腹部に傷は無く、服が破れているだけだ。 そして、ディアボロが感嘆したように呟く。 「何が何でも勝とうとする『執念』………見せてもらったぞギーシュ」 「やれやれ…相棒も困ったもんだな」 そう言って、ギーシュから歩き去って行くディアボロ。 夜空に輝く月と星だけがそんな二人の決闘の決着を静かに見詰めていた。
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ディアボロは冷たい床の上でぱちりと目を開いた。 夜が明けるにはまだ早く、窓の外には、二つの月が光り、室内を煌煌と照らしている。 それを尻目に見ながら、無断でルイズの部屋に持ち込んみ床置きしてある大量のピッツァを頬張るディアボロ。 壁に置いてあるデルフリンガーがそんなディアボロの様子に気付き、口を開いた。 「眠れねえのか?相棒」 デルフリンガーは何か勘違いしているようだが、ディアボロはこれ以上眠る必要が無い、。 それに応えるのは面倒なディアボロは無視してピッツァを食べるだけである。 「つれねえ仕打ちだな相棒!俺は寂しい思いはまっぴらごめんだぜ!」 ディアボロのスルーに腹を立てたのか、デルフリンガーがビリビリと震えながら怒鳴り声をあげる。 その声に反応して、ベッドの上のルイズが寝返りを打って毛布を跳ね除けた。だらしの無い貴族様である。 「……しっかしまあ、色気のねえ娘っ子だね」 反応の無いディアボロの相手をするのに飽きたデルフリンガーがネグリジェ姿のルイズを眺める。 ・・・・・・それにはディアボロも同意であった、自分の娘と比べるとルイズの体は明らかに発育不良が目立つ 12ぐらいだと思っていたが、本当の年齢が16だと知った時は大いに驚いた。 (まさか、トリッシュより年上だったとはな……しかし、暇だ……) あの大事件から、とにかく何もする事が無いディアボロは案の定暇になっていた。 まあ……ルイズから洗濯や掃除が命じられているが、ディアボロは軽くスルーしてるのでとにかく問題は無い 幸せそうに眠るルイズを横目で見ながら、何か面白い事でもないか、と適当に考える。 そこに、ディアボロに向き直ったデルフリンガーが声をかけた。 「そういやぁ。相棒ー、そのDISCってのは一体何なんだ?」 相変わらず、ディアボロは持っているDISCの事をルイズや他の奴等には説明してなかった。 手の内を曝け出したくないからであるが、まあ、ルイズ達でも理解できるように話すのが面倒だから、説明しないってのが最大の理由なのだが。 しかし、デルフリンガーはエニグマの紙に入れられた時にDISCの事を勝手に知ったらしい。 「……私にも良く分からんな」 「分からねぇ。って事はねぇだろ?」 「とにかく分からん」 奇妙なダンジョンに潜った時に見付けて、原理も知らないまま有効活用しているだけのディアボロには詳しい事は分からない。 ホテルのベッドを占領し続けている、ホモ二人の片割れが何か言っていたようなも気もするが、頭からは綺麗に忘れ去られている。 そんなこんなで、デルフリンガーとディアボロがダベっていると空が白み始めた。 「もう朝か……今日も1日あの娘っ子のきゃんきゃん声を聞かなきゃならんぜ相棒!」 「そう気にするほどでもない」 そんな事を口走りながら、ルイズのベッドに近付き、ベッドを殴り飛ばす。 ボゴォ! と凄まじい音を立てて、ルイズが飛び跳ねた。 そのままゴロゴロと床を転がり終えると、慌てた調子で立ちあがる。 「ひゃぁっ!?……もっと優しく起こしてって言ってるでしょ!」 そんなルイズの罵声を聞き流しながらも一緒に授業へ向かうディアボロ。 授業で魔法が披露されるのを見るのが楽しみなディアボロには行かない理由が無かった。 教室に入ってルイズの近くの席にドカッと座る。 ギーシュとの決闘やフーケ捕獲の功績から、その行為を咎める生徒は居なかった。 それから少し経った後、教室に長髪に黒いマントを纏った気味の悪い男が現れた。 その男――教師は、まず『疾風』のギトーと名乗り授業を始めた。 話口から性格を察すると、傲慢で自分の属性には絶対の自信を持っているようだ。 (つまらん授業だ) 等とディアボロが思っていると、何やらギトーの口車に乗ったキュルケが1メイル程の火の玉をぶっ放した。 ギトーは慌てる事無く、腰に差した杖を振って烈風を吹き出し火球を掻き消す。 ついでに烈風をくらったキュルケがこっちに吹っ飛んでくるが、避けるのが面倒なディアボロは何もする事無く突っ立っている。 ドガ! 衝突音と共に、キュルケとディアボロが5の固定ダメージを受けた。 「痛たた……受け止めてくれたって良いじゃないの」 「面倒だ」 体を摩りながらキュルケが抗議の声を上げる。が、ジト目はすぐに熱っぽい視線に変わった。 「酷いわディアボロ……それにアナタって結構セクシーな体してるわねぇ」 今の会話の何が気に入らないのかルイズがキュルケを睨み始めるが。 問題の原因であるギトーは無視するかのように授業を続ける。冷静な男である。 「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。 ……簡単だ。『風』は全てをなぎ払う。『火』も『土』も『水』も『風』の前では立つことすらできない 残念ながら試した事は無いが、『虚無』さえも吹き飛ばせるだろう。それが『風』だ」 「目に見えぬ『風』は、見えずとも諸君らを守る盾となり、必要とあらば敵を吹き飛ばす矛となるだろう。 そしてもう一つ、『風』が最強たる所以は………」 何と言うか、授業関係無しで俺は強い!って言いたいだけじゃないのか?と疑問に思うが。 そのギトーの言葉を聞きながらもディアボロは冷たい視線を向けるだけだ。 (ふん…自分の能力の短所も把握していないカスが偉そうにな……) その視線の先で、何やらギトーが杖を立てて詠唱を始めている。 「ユビキタス・デル・ウィンデ……」 しかしその時、突然そこに変な格好をしたコルベールが入って来た。 (何だあの格好は?) 服を着ていると言うよりも、服に着られていると言う方がしっくりくる姿である。 ……ディアボロも人の事が言えないぐらい変な格好をしているが。 入って来た時と同じ、慌てた調子で授業の中止を告げるコルベール ギトーの授業に飽きたディアボロが話半分に説明を聞いていると。 要約すれば、偉い人が来るから出迎えの準備を生徒全員で行うという事のようだ。 そして、ここは魔法学院の正門。 王女を乗せた馬車が現れるのと同時に生徒全員が杖を掲げる。 オスマンが馬車を出迎えると同時に、凄いタイミングの良さで絨毯が敷かれて馬車の扉が開き、何やら面倒くさい事をやった後に王女が出て来た。 生徒達から歓声が沸きあがる。 それに、王女はにっこりと薔薇のような微笑を浮かべて優雅に手を振る。 「あれが王女か?」 「当然じゃない、アンリエッタ様はトリステインの花って言われてるのよ」 確かに綺麗な容姿をしているが、ディアボロにとってはそこら辺に居る女とあまり変わらない。 早々に王女への興味が失せ始めて視線をそこら中に向けるディアボロ その時、隣に居るルイズが、はっとした顔になった。それから顔を赤らめる。 (何だ?) 何が見えたのか気になったディアボロはルイズの視線の先を確かめてみると。 その先には見事な羽帽子を被った、凛々しい貴族の姿があった。鷲の頭と獅子の胴を持ったこれ又見事なモンスターに乗っている。 何やらキュルケもその男に視線を向けているが、格好良い男なのでキュルケのストライクゾーンにでも入ったのだろう。 (……敵になりそうな気がするな) 男の姿から危ない物を感じ、このままピストルズを発射して、射殺したい欲求に駆られるディアボロ。 (今は無理か・・・・・・) しかし、こんな人目のある場所で凶行に及ぶ事は出来ないので、歯噛みしつつも男の行方を目で追うだけに止める。 三者三様の視線が浴びせられている事に反応しないで男は去っていった。何気に命拾いもしている。 そして夜になった。 部屋に戻ったルイズとディアボロ、しかし、ルイズはベットに座ったまま動こうとしない。 いや―――立ちあがったと思ったら……再びベッドに腰掛け、枕を抱いてほんやりする。 何やら違和感を感じたが、彼にとってはルイズがおかしくなろうが如何でも良い。 (あの男に一目惚れでもしたのか?) 昼間見た貴族の姿を思い出して、当らずとも遠からずな予想をするディアボロ。 そのまま、ピッツァを食っているだけだったが。何かに気付いて顔を上げる (何やら部屋に近づいて来る奴が居るな………) 足音を忍ばせているのが怪しいが、エアロスミスの感知では敵意を特に感じない。 なんだなんだと思ってると、その近付いて来た奴が部屋の前に接近。ドアがノックされた。 規則正しく長く2回、短く3回叩かれ、その音を聞いたルイズが慌てた様子で立ちあがる。 ドアが開かれると、そこには、真っ黒な頭巾をすっぽりとかぶった少女が立っていた。 辺りを覗うように首を回すと、そそくさと部屋に入ってきて、後ろ手に扉を閉める。 「……あなたは?」 ルイズは驚いたような声をあげた。 それを遮るように、頭巾を被った少女は口元に指を立てると、マントの隙間から杖を取り出して軽く振った。 ルーンを呟く声と同時に、光りの粉が部屋を舞う。 「……ディティクトマジック?」 ルイズが尋ねて、頭巾の少女が頷く。 「どこに耳と目が光っているか分かりませんからね」 少女が頭巾を脱ぐと――――現れたのは昼間見た王女であった。 「姫殿下!」 ルイズが慌てて膝を付き。 「お久しぶりね。ルイズ・フランソワーズ」 アンリエッタの涼しげな声がそれに応えた。 そして (今のは一体何なんだ?) 先程の光の粉に対するディアボロの疑問に答える者は、この部屋には存在しなかった。 <<前話 目次 To Be continued...
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そして朝 当然の事ながら学院は大騒ぎになっていた 何せ宝物庫の壁を物理的に破壊して、以下のような犯行声明を大胆にも残していたのだから。 『破壊の杖、確かに領収致しました。土くれのフーケ』 「お前が悪い!」 「彼女が悪い!」 「あいつが悪い!」 「私が悪い!」 取り敢えず責任の擦り合いから始めている教師達。かなり混乱している。 それを尻目に問題の解決に悩む学園長のオスマン。 うーむうーむと唸り続ける。そこに、物凄いタイミングの良さで女性が現れた―――秘書兼オスマンのセクハラ相手のロングビルである。 悩むオスマンに、彼女は下手人フーケの居場所を掴んだ事を知らせた。 「農民に聞き込みを入れた所、フーケの居場所が分かりました! 破壊の杖と似た形状の筒を抱えて、黒ずくめのローブを着た男が、森の廃屋に入って行ったようです! そこがフーケの隠れ家だと思われます!」 そのロングビルの朗報に 「王室に報告を!衛士隊に頼んで、兵を向かわせなければ!」 そう言うU字禿に唾を飛ばして叫ぶオスマン。 「このU字禿が何を言うかッ!知らせている間に逃げられたらどうすんじゃッ!残っている髪も全部無くなってしまえッ! それにこれは、我が身の不始末じゃぞ!!自分達の不始末を他人に解決してもらってどうするのじゃッ!?」 そこで、一端言葉を切ると、先程とは打って変わった表情でニコヤカに話し合うオスマンとコルベール。 「しかし……それにしても学園長、宝物庫が破られたのを知ったのは何時でしたか?」 「今朝じゃのう」 「そしてミス・ロングビルがフーケの隠れ家を掴んだのは何時でしたか?」 「ついさっきじゃのう」 「数時間も経っていないのに、神出鬼没なフーケの居場所を聞き出す事が出来るなんて有り得るでしょうか?」 「普通はありえないのう」 「そうですよね……フーケ本人かその共犯者以外じゃなきゃ、普通は有り得ない事ですよね」 「まあ、ミス・ロングビルがフーケを超える程優秀だったんじゃよ」 「無理矢理、納得するとしたらそうですね」 そこでいきなりロングビルの方を向くオスマンとコルベール。 グルゥッ!と言う効果音が付きそうな程である。 「「ミス・ロングビルそんなに引き攣った顔をしてどうしたんじゃ」ですか?」 「は、はは、は」 ロングビルは引き攣った笑いを返すしかできなかった。 「では、捜索隊を編成する。我こそはと思う者、杖を掲げよ」 しかし、誰も杖を掲げなかった。明後日の方向を見ながら口笛を吹いている者さえ居る。 「情けないのう……フーケを捕えて、家の名を上げようと思う貴族は居らんのか?」 その時、突然物陰から出て来て、杖を掲げた貴族が居た。 「私がやります!」 教師たちの眼が一斉に――――ルイズに向いた、コルベールが声を上げる。 「聞いていたのかミス・ヴァリエール!? 生徒が出る幕では無いぞ!教師に任せて戻りなさい!」 「誰も杖を掲げてないじゃないですか」 ルイズはプンスカしながらも言い返す。そんなルイズを面白そうな顔で見つめているディアボロ。 ルイズが杖を掲げたのを見て、同じく物陰から出て来たキュルケも杖を掲げる。 「ヴァリエール家が行くなら私も行かないわけにはいきませんわ」 「ミス・ツェルプストー…君までか」 呆れた声を出すコルベール。 最後に物陰から出て来た――タバサも杖を掲げた。 「ふむ…。では、頼むとしようか」 そのオスマンの提案に、一人だけ反対する教師が居た。 「しかしですな学園長、ミス・タバサやミス・ツェルプストーはまだしも、ミス・ヴァリエールを行かせるのは危険すぎますぞ! ここはフーケの情報を一人だけで掴んだミス・ロングビルに行かせるべきだと私は愚考しますが?」 その教師、コルベールの顔を見たオスマンはゆっくりと喋る。 「この三人は間違い無く優秀じゃぞコルベール。ミス・ツェルプストーは相当の炎の使い手と聞いており ゲルマニアでも優秀な軍人を数多く輩出した名門の出じゃ」 「それは知っています」 (グダグダ喋ってないで、さっさと破壊の杖を奪還させに行けよ……) と、思う教師達の中、オスマンが次にタバサを見た。 「ミス・タバサは若くしてシュバリエの称号を持つ騎士と聞いておる」 「学園長……それも知っていますが」 しかし、驚いたのはキュルケ。 「え、え!?私聞いてないわよタバサ!」 「言ってない」 ルイズも驚いたようにタバサを見ていた。教師達は如何でもよさげだ。 ディアボロは適当にそれを聞いていた。 (シュバリエ?何だそれは?美味いのか?) 「ミス・ヴァリエールは数々の優秀なメイジを輩出したヴァリエール公爵家の息女じゃ!」 その言葉にジト目でオスマンを睨むコルベール 「学園長…ミス・ヴァリエール本人はどうなんですか?」 「ムグ……ッ!」 (何とかして誉めてやったほうが良さそうじゃな……) そう考えたオスマンはディアボロを見て思い付いた言葉を口に出す。 「ミス・ヴァリエールは将来有望なメイジになる可能性が否定できないような気がしないでもないような感じがするような…… それにじゃ!ミス・ヴァリエールの使い魔は平民の変態ながらも、あのグラモン元帥の息子、女垂らしのギーシュ・ド・グラモンと決闘して勝ったそうじゃ!」 「確かにそうですな学園長。彼はガン……」 「ミスタ・コルベール!」 口を滑らしかけたコルベールを叱責したオスマン、当の本人は慌てて口に手を当てる。 オスマンとコルベールがチラリとトディアボロを見る、が。 「…………」 何処と無く呆けているような顔で立っているだけで心配はいらないと判断。 何か突っ込まれる前に、とっとと話を終わらせようと、オスマンは高らかに宣言する。 「とにかく!一人でフーケの居場所を探し当てたミス・ロングビルには劣るかもしれんが 彼女たち三人に勝てるものはおらんはずじゃ」 そして、四人に向き合うオスマン。 「諸君らの努力と貴族の義務に期待する」 「「「杖にかけて!」」」 女性三名が同時に唱和し、恭しく礼をする。 「では、馬車を用意しよう。ミス・ロングビル、彼女たちを手伝ってやっとくれ」 「了解いたしました学園長」 ミス・ロングビルは頭を下げた、が。 コルベールとオスマンの笑い声が聞こえて来た 「それにしてもフーケか共犯者じゃなきゃおかしいですなぁ」 「そうじゃのう、そうじゃのう」 顔を再度引き攣らせながらも、ロングビルはそそくさとその場を離れた。 「なー、あいぼー、フーケを捕まえられると思ってるのかー?」 出発までの僅かな時間に、ディアボロは厨房で料理をしこたま食らっていた。 特別に作ってもらった特大のピッツァを一秒で食べ切り一息突く。 「ふぅ……フーケが本当にその場所に居たら。の話だがな」 「馬で四時間って事は、往復で八時間って事だろ?腹は大丈夫なのかよ?」 「それを何とかするために、今食事しているんだが?」 料理を次々に平らげながら、先程U字禿が言い掛けた言葉を思い出すディアボロ。しかしそれにしても大食いってレベルじゃねーぞ (ガン何とかか……あの禿は何を言おうとしていたんだ?) あの時、ディアボロはただ黙って立っていただけでは無い。 目だけを動かして観察+耳で周囲の情報を聞いていたのだ。 (まあ、考えても詮無き事か) そんな事を考えながら、デルフリンガーを鞘に収め、コック長のマルトーに向かって歩き出す。 彼の目論見通りに、ギーシュとの決闘後、厨房の連中はディアボロの事を『我らの剣』と尊敬していた。 シエスタやコック長のマルトー等は一種の信者である。 歩いてきたディアボロの姿を見たマルトーは嬉しそうに叫ぶ 「おお!ディアボロじゃないか!何か用でもあんのかい?」 「馬車の中に食べ物を置いてもらえないだろうか?」 「おう!お安い御用さ!今度は貴族の泥棒を捕まえるんだって?頑張ってくれよ!」 土くれのフーケがどんな強さかはディアボロには分からないが。 取り敢えず餓死の危険性が少なくなった事にホッとした。 そして、重要な事を思い出したディアボロ (任務は『破壊の杖』奪還だったな・・・・・・マルトーにもう一枚DISCを預けて行くか) <<前話 目次 次話>>
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そして、アルヴィーズの食堂の大きなホールでフリッグの舞踏会が開催された。 着飾った生徒や教師達が、豪華な料理が盛られたテーブルの周りで話している。 舞踏会なんぞ如何でも良かろうなのだー!なディアボロではあったが、豪勢な料理が出ると言う言葉に惹かれてやって来た。現金な物である。 相変わらず服装はそのままであり、貴族の連中から奇異の視線を浴びせられているが、馬耳東風な感じで料理を次々に平らげて行く。 補充より多い消費の速さに目を白黒させながらも働くメイド達。 途中で、黒いパーティードレスを着たタバサと早食いを競い合い、タバサの舌に苦い敗北を味合わせたりした。 そんなこんなで、めぼしい物は殆ど食べ尽くしてしまった事に息を吐くディアボロ。 舞踏会から抜け出て部屋に戻ろうか考えている最中。 ある男がやって来た。 「何の用だ……?」 その男は言葉に反応する事無く、ディアボロの超至近距離まで近付くと、何かを耳打ちする。 「……………」 「ふん?」 伝え終わるとそのままホールから抜け出して行った、女垂らしの彼には珍しい事である。 顎に手を当てて何かを考えていたディアボロだが。 そこに、このパーティー最後の主役であるルイズが姿を現した。 「ヴァルエーリ公爵が息女。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール嬢のおな~~り~~!」 門に控えた呼び出しの衛士が仰々しく告げる。 で、問題のルイズと言うと、ぶっちゃけ美しいとしか言えない。 長い桃色の髪を纏めて、白のドレスに身を包んだ姿。 普段でも黙ってさえいれば感じられるルイズの高貴さみたいな物を効果的に演出し、小さな顔を輝かせている。 ロリが好きな人達には大人気だろうな。と適当にディアボロが考えながらも料理を口に運ぶ。 そして、ホールでは貴族達が優雅にダンスを踊り始めていた。 ルイズの周りにもその姿と美貌に驚いたロリコン達が群がり、盛んにダンスを申し込んだ。 しかし、ルイズはその申し込み全てを丁重にお断りしている。 「……楽しんでるみたいね」 皿に残っている料理の一欠けらさえも舐めるように食べ続けるディアボロを見て、皮肉気にルイズは言った。 「そうだな」 ディアボロは適当に相槌を打ちながらも、残っている料理があるかどうか周りを捜し続けている。 ………意地汚いと言うレベルではない。 (豪勢と聞いていたが……味はともかく量が少ないな…) などと考えているディアボロに、ルイズはスッ、と手を差し伸べて来た。 顔のパーツ全部を真っ赤にして、途切れ途切れな言葉を口にするルイズ。 「踊って、あ、あ、上げても、よよよ良くってよ? ……勘違いしないでよね!あんたと踊りたいわけじゃなくて、相手が居ないから仕方無くなのよ!」 少しでも気を抜けば憎まれ口を叩き出しそうになる舌を気合で押えたダンスの申し込み。 だが、肝心のディアボロはと言うと (チッ…料理が見当たらん) 完全にスルーされて、プッツンきたルイズ 「なによなによ!ご主人様の頼みが聞けないわけ!?ちょっと!ディアボロ聞いてんの!?」 料理を探すのを止めて、高貴な貴族から何時ものルイズに戻るのを面白そうな顔で眺めているディアボロ。 肩で息をしているルイズ。罵倒の言葉が出尽くしたのだろう。 ふぅ、と溜息を一つ吐くと。 「まあ良いわ……あんたの言った事信じてあげる」 いきなりの言葉にディアボロは率直な疑問を言った。 「何の事だ?」 「別の世界から来たって言った事よ」 「証拠も無いのに信じるのか?」 「確かにそうだけど……あんた言ってたじゃない、使い魔を信じてみるものだって。」 そこまで言ってから、ルイズは少し俯いた。 「………元の世界に帰りたいと思ってる?」 元の世界には、ディアボロが居なくなった事を心配している者が居るかもしれない。 ディアボロも、待っている者の所に帰りたいかもしれない。 ルイズ自身も見も知らぬ別の世界に、いきなり召喚されたら帰りたいと思うのが普通だと思っている。 何時かディアボロは、自分の元から消えてしまうのではないかとの不安も込められた その言葉にディアボロは 「いや……帰りたいとは思っていないな」 この世界に来てから起こった様々な出来事を思い返しながら喋った。 この世界への興味、それに、ルイズの成長を期待しているディアボロには帰ろうとする気は無い。 そもそも、元居た世界には彼を待っている者などは一人も存在しない。 予想外のディアボロの言葉に、顔が真っ赤になるのを感じたルイズは、バッと顔をうつむけた。 そして、熱が引くのを待ってから、顔を上げ今日一番言いたかった事を伝える。 「その、えっと……フーケのゴーレムから助けてくれて、あ、ありがとう」 そのまま恥ずかしそうに走り去って行くルイズ。 それを見たディアボロは苦笑しながらホールから出て行こうとした、その時。 服がくいくいと言うような調子で引っ張られた。 何だ?とディアボロが振り向くとその先にはタバサの姿。 「リベンジ」 その手が指差す方向にはサラダの山があった。 どうやら早食い勝負の再挑戦がしたいようである。 「ふん……良いだろう」 そんなに時間は掛からないだろうと思いディアボロは承諾。 面白そうな顔をして見守るキュルケが開始の合図をする事になった。 ………この世界に来て日が浅いディアボロは知らない事だが。 サラダに入ってる野菜――――『はしばみ草』、それは毒物級の不味さを誇る、学院一嫌われている料理。 何も知らずに食べた女生徒が失神して、そのまま医務室に直行したと言う逸話さえもある程だ。 ディアボロの顔を見たタバサの顔に微妙な黒い物が浮かぶ。 (私の勝ち) 例えどんな早食いが出来ようとも、この不味さには耐えられないだろうと思い勝利を確信する。 何とも腹黒い。 「準備は良いわね?スタート!」 キュルケの号令と同時に、サラダにフォークを突き刺して口に運ぶタバサ だが、一口食べ終えた所で 「私の勝ちだな」 予想外すぎる声が聞こえた 珍しくも慌てたタバサが急いで隣を見ると、そこには空っぽになった皿+涼しい顔をしてホールから抜け出るディアボロの姿。 何かイカサマをしたのではないかとキュルケに詰め寄るが。 「ディアボロはちゃんとサラダを食べたわよ?」 ディアボロがイカサマをやっていないと知って更に愕然とした。 言い知れぬ敗北感を感じながら、タバサはサラダの山と共に崩れ落ちた。 ………知り合ってからまだ日が浅いタバサは知らない事だったが。 ディアボロは腐ったピッツァや消し炭と化した料理さえも食べ尽くせるのである。 苦いだけのサラダなど物の数ではない。むしろ食えるだけでもありがたやであった。 <<前話 目次 次話>>
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「エア・ハンマー」 「ファイヤーボール!」 ディアボロを踏み潰そうとしたゴーレムの足に風の槌が直撃した! 続いた火球がゴーレムの頭に当る。 だが、効果は薄い……と言うか殆ど効いてない。 しかし、その事によりゴーレムは少しバランスを崩してよろけてしまい、フーケがゴーレムの陰に隠れてしまった。 「!?」 ザ・ハンドのDISC発動による引き寄せは、標的との間に障害物があると効果が無い。 つまり使用しても+修正が一つ減るだけで無意味って事である。 このエアハンマーとファイヤーボールを使ったのは誰だー!?と言わんばかりに飛んで来たほうを見るディアボロ。 「ディアボロ大丈夫!?」 視線の先、飛んできたドラゴンの上に乗っているキュルケが叫んだ。 「余計な事を!」 「早く逃げるぞ相棒!逃げろ逃げろ!」 起きた事はしょうがないとして、、ルイズを捜そうと周囲を見回すディアボロ。 すると意外な事に、ルイズは何時の間にかゴーレムの横に走っていた。 (何をする気だ?) ルイズや自分の安全よりも、ルイズが何をするのかに興味が湧いたディアボロ。 取り敢えず、キュルケの叫びを無視してそのまま見守る事とする。すぐ目の前にゴーレムが居るのに余裕である。 ディアボロの視線の先ではルイズがゴーレムに向かってひたすら『破壊の杖』を振っている。 どうやらルイズは『破壊の杖』を使ってゴーレムを倒す気らしい。 (あれはメイジの杖では無いのだが) 大いなる勘違いを見たディアボロは軽い頭痛がした。 そのディアボロの視線の向きにフーケが気づいたのか、ゴーレムが振り向いて、破壊の杖を強奪しようとルイズに手を伸ばす。 それを見たタバサとキュルケは、唱えた魔法がフーケに届くより、ゴーレムの腕がルイズを殴る方が早いと分かってしまった。 「・・・・・・しょうがない」 キュルケの悲痛な叫びを聞きながらも、ディアボロは溜息を一つしてDISCを発動した (ザ・ハンドのDISC発動!) その一瞬、ディアボロの体から、もう一本の腕が浮き出て、ガオン!と言う効果音がつかんばかりに前方を薙いだ! すると!驚くべき事に! 『空間をけずるとる!……するとお~~~~っ!』 「!?」 『破壊の杖』を抱えたルイズがディアボロの目の前にいきなり現れた! 何も無い所で腕を空振りするゴーレム。 「【瞬間移動】だな」 微妙に混乱しているルイズを見ながら涼しい顔をするディアボロ。 「あ、あれ!?何で!?」 「慌てるのは後にしろ。今は逃げるぞ」 「逃げるなんて嫌よ!」 ルイズの口から予想外すぎる言葉が出た。 「ふん?」 訝しげにルイズを見るディアボロに答える。 「フーケを捕まえれば誰も私の事を『ゼロ』とは馬鹿にしなくなるんだからッ! ここで逃げたら私はずっと『ゼロのルイズ』のままなのよ!?」 努力が認められずに散々馬鹿にされ続けた記憶を思い出して悲痛に叫ぶルイズ。 「なるほど・・・・・・」 静かな目をルイズに向けるディアボロ。 馬鹿にされたと感じて顔を赤くするルイズを見詰めながらもゆっくり思い出す。 かつて帝王だった時の自分の言葉。 『これは「試練」だ。過去に打ち勝てという「試練」とオレは受けとった。 人の成長は……………未熟な過去に打ち勝つことだとな… え?おまえもそうだろう?』 (やはり、私が召喚されるのも必然だな) ・・・・・・如何でもいいが、目と鼻の先にゴーレムが居ると言うのにゴチャゴチャ話し合うとは大した奴等である。まさか・・・・・・これほどとは。でもあった。 と言うか、今まさに、ゴーレムが足で踏み潰そうとしているのに気付いたディアボロとルイズ 頼みの綱のキュルケとタバサはゴーレムの振る腕が邪魔して近寄る事が出来ない。 「これには背を向けないと死ぬと思うが?」 死の鉄槌が振り下ろされようとしても冷静なディアボロ。死に慣れている彼には屁でもないのだろう。 「敵に後ろを見せない者を貴族と呼ぶのよ!……そして、私は貴族なの!」 自分の一振りに『破壊の杖』は応える。そう信じて逃げる事無く、再度破壊の杖を振り下ろすルイズ。 だが、現実は無情!何も起こらなかった! ドラクエで復活の呪文が違いますと言われるような物である。 目の前には振り下ろされるゴーレムの鉄となった足、ルイズは死を覚悟した。 今までの人生が走馬灯となって流れる寸前、苦笑するような場違いな声が聞こえ―――― 「世話の掛かる奴だ」 ルイズの背中にドヒュンと言う文字が張り付いた瞬間 ドヒュ――z__ン! 「キャァァァァァァァァ!」 悲鳴を上げて数十メイル以上吹っ飛ばされるルイズ。 『破壊の杖』だけは手放すまいと抱きしめているのだけは流石な部分である。 そのまま、木にぶつかって5の固定ダメージを受けた。 「ケホッケホッ」 少女にとっては決して軽くない衝撃に咳き込みながらも、前を向こうとした時 ズシン! 大きな音が大地を揺らし、森の木々が揺れた。 「ディ、ディアボロ?」 ルイズの視線の先で、鉄に錬金されたゴーレムの足が上げられた。 陥没した地面の中にはディアボロが居た。 腕や足からは骨が飛び出し、腹からは内臓が駄々漏れ、人間の原型を留めているのが不思議な姿。馬車に轢かれた蛙よりも酷い ディアボロの今の姿を客観的に生きていると言うならば、辞書に載っている死人の定義を書き直さなければならないだろう ディアボロが死んだ……。 その事実がルイズの頭にオラァ!とばかりに叩きこまれた 上空からそれを見ていたキュルケ達も愕然としていた。 ルイズを吹き飛ばしたディアボロがゴーレムの足に踏み潰されたのを。 ゴーレムが足をどけた後からは、潰れた人間の姿。 「ま、まさか……」 「……あれでは、例え…生きていたとしても……」 そして―― そんなディアボロの姿を嬉しそうに見るフーケ 「死因リストに、フーケのゴーレムに踏み潰されて死亡が追加ね♪」 そんな事を口走りながらも 邪悪に微笑えんで、茫然自失したルイズに振り向く。 「ウフフフ……後は小煩い虫を潰すだけね」 <<前話 目次 次話>>
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慌てて立ち上がったルイズの目にもそのゴーレムが映った。 「ななな何!?まさかミス・ロングビルが土くれのフーケだって言うの!?」 (ゴーレムを作られたか……ヘブンズドアーのDISCで今更特殊能力を封印しても意味が無いな) 「そうだ……お前はこれを持って早く逃げろ」 テンパり具合が酷いルイズに冷静に答えながら紙から何かを出して渡す ルイズの手に渡されたそれは『破壊の杖』だった。 その声と杖の重みに多少冷静さを取り戻したルイズが叫ぶ。 「何言ってんの!?あんたはどうするつもりなのよ!」 「私はあのゴーレムの足止めをする」 そのままデルフリンガーの鞘を抜くと、フーケのゴーレムに歩いて行くディアボロ。 少し散歩しに行く程度の気概で挑む姿には、何の気負いも無い。 後ろでルイズの叫び声が聞こえた気がするが無視する。 ルイズが廃屋の中に飛び込んでから数瞬、キュルケとタバサは小屋から飛び出た人影が巨大なゴーレムを作っていくのを見ていた。 「あれが……フーケのゴーレム・・・・・・ってかあの人って、明らかにミス・ロングビルよねタバサ?」 「間違い無い」 「それじゃあ、じっとしてる場合じゃないわよ!」 辺りに指笛が響き、続いてバッサバッサと羽ばたきながら出て来るシルフィード 「ゴーよ!ゴー!」 キュルケとタバサを乗せた風竜はゴーレムに向かって勢い良く羽ばたく ディアボロは面白そうにゴーレムを見つめながら歩いている。 「ギーシュのワルキューレを軽く超える物を作るとは……さすが、トライアングルメイジ」 「なあ!如何すんだ相棒!?」 鞘から抜いたデルフリンガーが慌てた声で叫ぶ。 「足止めをすると言ったが?」 「あのゴーレムの大きさを見ろよ!?正気なのか!?」 確かに目の前のゴーレムは物凄い大きさを誇っている。 少し足を止めて顎を手で摩りながら喋るディアボロ。 「まあ……あのゴーレムを倒す手段なら幾らでもあるがな…取り敢えずは足止めだけだ」 「足止めなんかしないで、その倒す手段を使えよ!」 「嫌だ」 「何で!?」 「勿体無い」 デルフリンガーの中でディアボロの言った事が繋がる。 (嫌だの後に・・・勿体無い・・・つまり『勿体無いから嫌だ』って事か、納得だぜ!) 一瞬納得しかけたが、すぐに先程以上の大声で叫び始める。 「ハァァァァァ!?『勿体無いから嫌だ』って何言ってんだァ!?狂ってんのかこの変態!?」 「そう騒ぐな……来るぞ」 その一人と一振りの目の前では。 30メイルのゴーレムがこっちに向かって動き出したのが見えた。 「こんなのが『使い手』なんて嫌だー!クーリングオフしてくれぇ!」 「黙れ」 漫才をかますディアボロ達の目の前でゴーレムが腕を振り上げ――― バゴォン! 巨大な破壊音が響く。 原因はゴーレムの右腕がディアボロを殴ったからだ 辺りに土砂が舞い上がり、腕の先にはクレーターが出来あがっていた。 常人ならミンチ確定。それはフーケにもわかっている。 「もう終わりかしら?」 身の程知らずにも掛かって来た平民の変態に哀みと蔑みが混じった表情を向ける、が。 切断音と同時に――――いきなり、何の前触れも無しにゴーレムの手首が斬り飛ばされる。 「!?」 驚くフーケの視線の先。 砂に帰ったゴーレムの手首の跡から、何事も無かったかのように現れるディアボロ。 無傷ではない、だが、30メイルもあるゴーレムの攻撃をくらったにしてはあまりにも傷が軽すぎる。 自分のゴーレムの一撃に平民が耐えた。そのありえない現実に絶句するフーケ。 一見しただけでは余裕の表情のディアボロ。 だが、今の攻撃で彼はフーケのゴーレムを過小評価していた事を知った。 (少し侮りすぎたか・・・・・・ローリング・ストーンズの罠程とは言えないが、中々の攻撃力だ。足止めだけをしている余裕は無いようだな) 死ぬ程の傷では無いと言え、もう3,4回直撃をくらったらどうなるか分からない。 しかも切断した手首の先に土が集まって再生を始めて行くのが見えた。 DISCの無駄な使用は避けたいディアボロは、やや慌てながらもゴーレムを見る、しかし、件の土人形は何故か動こうとしない。 どうやらゴーレムの攻撃に普通に耐えたのが予想外すぎて、フーケは茫然自失となっているようだ。 このまま、間を置かないで攻め続けた方が良いと判断する。 「どうした?続けないのか?」 嘲るように笑いながらゴーレムに向かって再度歩き出した。 それを呆然と見ていたフーケは、歩いてくるディアボロの傷が治っていくのに気付く。 (理解不能理解不能理解不能!?) 自身の理解を超えた男に恐怖の表情を向ける。 「ば、化物!?」 「ふん?薄汚い盗賊にそう言われるとは私も心外だな」 ディアボロは大袈裟に肩を竦めるが歩みは止めない。 「このおぉぉ!」 恐怖を怒りで紛らわし、もう一度ゴーレムに攻撃させるフーケ 今度の攻撃は――足、それも鉄に錬金させている。 異常にタフなディアボロと言えども一撃で半死半生に追い込まれかねない。 しかし、それを見ても、ディアボロは余裕の表情を崩さなかった。 何故なら (ピストルズはゴーレムを狙う可能性があるな・・・・・・良い角度だしアレを使うか) ゴーレムの肩に乗ったフーケとの直線状に移動して、間に何の遮蔽物も無い事を確認したディアボロが紙からDISC発動をしようとする。 それはザ・ハンドのDISC!空間を削り取る事によって、フーケを自分の傍に引き寄せるのがディアボロの考えていた事だった! (あいつ等が居るから全体攻撃DISCは使えん、切り札は勿体無い。 なるべく無駄な消費は避けたかったが・・・・・・そうも言ってられんな) 足で踏み潰される一秒前には発動が間に合う事が分かっている。 ガオン!から 空間をけずるとる!……するとお~~~~っ!をして ディアボロの勝利!フーケ編完!と言いたい所だが。そうは問屋が卸さなかった。 <<前話 目次 次話>>
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フーケの声を聞いても、自分の方に歩いて来るゴーレムを見ても、ルイズは動く事が出来なかった。 『ディアボロが自分を庇って死んだ』その事実が体から気力を奪い取っている。 今のルイズの頭に浮かんでいるのはディアボロと過ごした日々。 我侭ばっかりだった自分に怒りもせず、何で一緒に居てくれたんだろう? そう思った瞬間 ルイズは立ち上がり『破壊の杖』の代わりに己の杖を抜く。 呪文を唱え、魔力を込め、自分が出きる唯一の魔法を解き放つ。 解き放たれた爆発がゴーレムの鉄の足を襲った、しかし、傷一つ罅一つ入らない。 それでも、ルイズは止まらずに魔法を放ち続ける。 「小虫が足掻くわねぇ」 無駄な努力をするルイズを嘲笑うフーケ。 絶体絶命なルイズ。 その瞬間 「考え方を変えて使え…と言った筈だがな…」 静かな声が響き剣閃が、ゴーレムの足に走った。 今まさに歩き出そうとしていた所に決まる、完全に完璧な不意打ち。 「え!?」 無様に転倒するゴーレムと肩から落下するフーケ。 受身を取りながら、攻撃を受けた個所を見ると――― 信じられない者が居た。陥没した地面から普通に立ちあがっているディアボロが居た。 相変わらず、腕や足からは骨が飛び出し、腹からは内臓が駄々漏れ、人間の原型を留めているのが不思議な姿 なのに。 「そんなに驚いた顔をしてどうしたんだ・・・・・・え?フーケ」 声は全く平静で、負傷など感じていないかのような足取り その場に居た誰もが一生忘れないだろう悪夢じみた光景。 「馬、鹿な!?」 あの状態で人間が生きていられるはずが無い、ましてや動く事など不可能なはずだ。 だが、今現在ディアボロは動いている。 人生で始めて感じる未知の恐怖に、ゴーレムを動かす事も忘れてフーケの体が震え出す。 その隙を逃すディアボロでは無かった。 「フーケを捕まえるチャンスだぞ?」 ハッと気付いた時にはもう遅い。 傍らに立っていたルイズから魔法の爆発をくらって、フーケは吹き飛ばされ木の幹に激突して意識も吹っ飛ばされた。フーケ編完である! 「良くやったな」 気楽に喋るディアボロに走って来たルイズ 「そんな事言ってないで!速く学院に戻らなきゃ!」 痛々しげな目でディアボロの傷を見る。目からは涙が溢れている。 シルフィードから降りて来たキュルケとタバサもそれに続く。 「そんなに酷い傷では無い……フーケを縛り上げて戻るぞ」 煩げに手を振って答えるディアボロだが。 その言葉を無視する3人に抱え上げられて強引にシルフィードの背中に乗せられた 「学院に戻って」 タバサの命令にシルフィードが一鳴きすると、そのまま全速力で飛んで行く。 「相棒……大丈夫なのか?」 「心配いらんと言っているが……あいつ等も心配性な事だ。この世はアホだらけなのか?」 手足の骨がぶち折れて内臓がはみ出てるのに、平静すぎるデイアボロが異常なのだが。 それに突っ込みを入れる者や物はこの場には居なかった。 (ロードローラー並だったな……) シルフィードに揺られながらも、つらつらとそんな事を考えるディアボロ。 まあ、腹減りもヤバイ所まで来てたから早く戻れるなら良いだろうと考え直し。 (取り敢えずは、万が一に備えて応急処置だけはしておくか) エニグマの紙からフー・ファイターズのDISCを使用して傷を治す。 プランクトンで治る傷なのかと誰もが疑問に思うが、傷は治っているので問題は無かった。 ルイズ達の心配とは程遠い不死身ぶりを見せているディアボロであった。 学院に戻ってからディアボロは、きゅいきゅいと鳴いて煩いシルフィードを放って医務室に寄らずに厨房に直行した。 そんなディアボロに遅れる事数時間。 学院に戻ってきたルイズ達3人が見たのは、厨房で元気に食事をするディアボロの姿。 「ええ!?大丈夫なのディアボロ!?」 「問題は無い。と言っただろう」 厨房に着いた時には傷は自然治癒していたのである。 適当に答えて無傷の体を見せるディアボロ。 常人なら数ヶ月はベッドで昏睡状態のはずだが、医務室の治療が完璧だと思って強引にルイズ達は疑問を拭った。 そして、学院長室でオスマンが事の顛末を聞いていた。 「ミス・ロングビルが土くれのフーケじゃったとはな……全く気付かなかったわい!」 「そうですな学園長」 お前等実は気付いてたんじゃね?との視線を物ともせずにオスマンはルイズ達を褒め出した。 フーケは衛士に引き渡され、破壊の杖は無事に宝物庫に収まり一件落着である。 そしてオスマンは、ルイズ達にシュヴァリエの爵位申請を宮廷に出した事を告げた。 「本当ですか?」 キュルケとルイズは喜びの声を上げた。が一瞬後ルイズの表情だけ固くなった。 「オールド・オスマン。ディアボロには何もないんですか?」 「貴族ではない平民の変態では、な」 平民はともかく、変態は関係無いと思う。 そんなこんなな感じで、ルイズとオスマンが話しているが、正直ディアボロにとっては如何でも良い事である 「……シュヴァリエとは何だ?」 取り敢えず、朝からシュヴァリエが何なのかを聞きたかったので、ここぞとばかりに質問してみる。 「知らないの?王室から与えられる爵位よ、最下級のものだけど。 シュヴァリエは他の爵位と違って、純粋な業績に対してのみ与えられる爵位だから 私達のような年齢で与えられるなんて驚きよ。」 無い胸を張って、そう誇らしげに語るルイズ。ディアボロも疑問が解けて満足気だ。 それを見ながら、オスマンは手を叩いた。 「さてと、今日の夜はフリッグの舞踏会じゃぞ? この通り『破壊の杖』も戻ってきて、予定通り執り行う事が出来て万々歳じゃよ。 今日の舞踏会の主役は君たちじゃ、用意をしてきたまえ。」 三人は一礼するとドアに向かった。だがディアボロだけ部屋から出て行こうとしない。 疑問の視線を向けるルイズに手を振ると。 「先に行け……私はちょっとした用がある」 ルイズの疑問はまだ解けていないようだが、取り敢えず頷いて部屋を出て行った。 「何か、私に聞きたい事がおありのようじゃな?」 「ガン…何とかとは何だ?」 そう問い掛けるディアボロの目の前で、いきなり明後日の方向を見て口笛を吹き出すオスマン。 あからさまに怪しい。 「ふん?まあ、良い……次の疑問だが。あの『破壊の杖』は何処で拾ったものだ?」 「……何でそんな事を聞くのじゃ?」 疑問文に疑問文で返すオスマンを見て、こめかみを引き攣らせるディアボロ。 「あれは私の元居た世界の武器だからだ……それが気になってな」 「『元居た世界』?……なるほど、それなら納得できるのう」 オスマンは溜め息をつくと、遠い目をして語り出した。 森を散策中にワイヴァーンに襲われた事。 そんなピンチのオスマンを『破壊の杖』を使って助けた男が居た事。 怪我をしていた男を学院に運び込んで治療したが死んでしまった事。 最後に残った一本を『破壊の杖』と名づけて宝物庫にしまい込んだ事。 そして、男がうわ言のように繰り返したのが『ここはどこだ。元の世界に帰りたい』だった事。 そこまで喋り終えてディアボロを見詰めるオスマン。 「きっと、彼は君と同じ世界から来たんじゃろうな……」 「…………」 「そして…おぬしの最初の疑問じゃが、そのルーン……」 「これがどうかしたのか?」 ディアボロが自分の左手にあるルーンをオスマンに向ける。 「それはガンダールヴの印じゃ……伝説の使い魔の印じゃよ」 「ガンダールヴ?」 「そうじゃ。その伝説の使い魔はありとあらゆる武器を使いこなしたそうじゃ。 曰く神の盾……もしくは……神の左手ガンダールヴという」 疑問が全部解けたので、そのまま学院長室から退出しようとするディアボロ。 ルイズが何故そんな伝説の使い魔として召喚できたのかは、如何でも良い疑問として片付ける。 ドアを開けようとした時、後ろからオスマンの声が聞こえた 「恩人の杖を取り戻してくれて……ありがとう……!改めて礼を言うぞ お主がどういう理屈で、こっちの世界にやって来たのか、わしなりに調べるつもりじゃ。じゃが……」 「?」 「何も解らなくても、恨まんでくれよ?なに、こっちの世界も住めば都じゃからな」 帰る手段はあり、帰る気も無い、そんなディアボロはオスマンの言葉を如何でも良い事として聞き流す。 彼にとっては理屈が解ろうが解らまいがどちらでも構わないのである。 <<前話 目次 次話>>
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